亡国の聖女は氷帝に溺愛される
ウィンクルムの花は、庭園の中心部に生い茂っていた。ルーチェの腰ほどの高さの草丈に、小さな花を無数に咲かせている。花は白くて小さいが、とても愛らしいものだった。
(この花が、ウィンクルムの花……)
夢中になって観察していると、ルーチェへと向かって影が伸びてきた。視線を持ち上げると、花壇を挟んだ向こう側に男の人が立っていた。
「お客様とは珍しいものですな。それもウィンクルムを見に来られるとは」
男性は被っていた帽子を下ろすと、深々と頭を下げた。足元にはジョウロやハサミ、スコップといった植物の手入れ道具が入った箱がある。
「初めまして。ウィンクルムの花の種が欲しいのですが、貴方様は庭師の方でしょうか?」
「ええ、そうですよ。すぐにご用意いたしましょう」
男性は帽子を被り直すと、一番近くにある花を一輪手折った。そして器用に花弁を取り、顕になった黄色い膨らみを摘んで、軽く上下に振る。
すると、中から茶色い小粒の物が出てきた。
「これが種です。七日ほどで芽が出るでしょう。ウィンクルムはとても強く逞しい花でしてね、同じ場所に繰り返し咲き続けるのです」
ルーチェは両手で種を受け取り、セルカが広げてくれたハンカチに乗せて包み込んだ。
「ありがとうございます。庭師様」
後ろにいるアスランが「信じられない」と呟いたが、ルーチェは気にも止めずに笑顔でお礼を言い、他の花も眺めながら庭園を後にした。
(この花が、ウィンクルムの花……)
夢中になって観察していると、ルーチェへと向かって影が伸びてきた。視線を持ち上げると、花壇を挟んだ向こう側に男の人が立っていた。
「お客様とは珍しいものですな。それもウィンクルムを見に来られるとは」
男性は被っていた帽子を下ろすと、深々と頭を下げた。足元にはジョウロやハサミ、スコップといった植物の手入れ道具が入った箱がある。
「初めまして。ウィンクルムの花の種が欲しいのですが、貴方様は庭師の方でしょうか?」
「ええ、そうですよ。すぐにご用意いたしましょう」
男性は帽子を被り直すと、一番近くにある花を一輪手折った。そして器用に花弁を取り、顕になった黄色い膨らみを摘んで、軽く上下に振る。
すると、中から茶色い小粒の物が出てきた。
「これが種です。七日ほどで芽が出るでしょう。ウィンクルムはとても強く逞しい花でしてね、同じ場所に繰り返し咲き続けるのです」
ルーチェは両手で種を受け取り、セルカが広げてくれたハンカチに乗せて包み込んだ。
「ありがとうございます。庭師様」
後ろにいるアスランが「信じられない」と呟いたが、ルーチェは気にも止めずに笑顔でお礼を言い、他の花も眺めながら庭園を後にした。