兄弟の溺愛に堕ちて
「この前の出張の夜……君にそう言う相手がいるなら、俺は諦めるつもりだった。」

彼は低く続ける。

「でも、その相手が蓮だと知った瞬間、全身の血が沸き立った。容赦なんてできるか。」

息が詰まる。車内の空気が熱を帯びて、逃げ場がなくなる。

「美咲……」

シート越しに、ゆっくりと顔が近づいてくる。

「俺と付き合ってくれ。」

熱のこもった吐息が頬をかすめた。

「……美咲、うんって言うんだ。」

低く命じるような囁きに、もう抗えなかった。私は震える唇で、こくりと頷いた。

「ああ……美咲。」

次の瞬間、強い腕に引き寄せられた。

「幸せにする。俺と一緒にいること、絶対に後悔させない。」

胸がいっぱいになり、視界が滲む。

「やっと……言ってくれた。」

溢れる涙が頬を伝う。

「三年もの間、あなたのことばかり見てきたのに。」

想いが堰を切ったように溢れ出す。
< 100 / 106 >

この作品をシェア

pagetop