兄弟の溺愛に堕ちて
「……あの、多い荷物というのは?」

問いかけると、一真さんはごく普通に答えた。

「ああ、先に送っておいた。」

えっ――。頭の中が真っ白になる。

私はそんなこと聞いていない。

つまり、最初から荷物係なんて必要なかったのだ。

「では……私は来なくてもよかったのでは?」

思わず口をついて出た言葉に、一真さんはふっと微笑んだ。

「たまには二人で行くのもいいだろう、美咲。」

その柔らかな声に、胸が跳ねた。

どうしてそんなことを言うの? 

ただの社長と秘書のはずなのに。

なのに私は、抗えずにその背中のあとを追って新幹線に乗り込んでしまう。

指定席はいつもと同じ、一番前の二席。

奥の窓側を一真さんが取り、私は通路側に腰を下ろす。

膝の上にバッグを置き、落ち着かない手を握りしめた。

車窓の景色が流れていくのに、目の前の距離がやけに近く感じられる。

「新幹線に一緒に乗るの、初めてだな。」
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