永遠の約束を交わそう
翌朝。


救護所は普段よりもざわついていた。


食堂へ入ると、仲間たちが小声で何かを話しているのが耳に入る。


「明日、13班が出撃するらしい」


「昨日、食堂の中野さんに佐藤が手紙を渡してたよ。家族に届けてくれって」


俺の胸が冷たく締め付けられた。


昨夜の美緒の涙が、その瞬間、すべて繋がった。



彼女はきっと、その場面を見ていたのだ。


手紙を託す若い兵士の姿を。


死を覚悟して、残された家族へ想いを託す背中を。


『国のためとはいえ、命まで捧げなくていいのに』


そんなふうに思って、泣いたに違いない。


まだ20歳の少女が、見ず知らずの兵士のために流した涙。


俺の胸は熱く、そして苦しくなった。
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