永遠の約束を交わそう
夜風が砂浜を吹き抜ける。
 

波音は変わらず、星は静かに瞬いていた。

 
勇さんが立ち上がり、ゆっくりと歩き出す。
 

「…そろそろ戻ろう」

 
その背中を見つめたまま、言葉が出せずにいた。
 

胸の奥が締めつけられる。


どうしても、どうしても引き止めたい。

 
そして、ついに駆け寄り、後ろから彼の背に抱きついた。


「行かないで…」


小さな声は震え、涙が頬を伝って流れる。

 
彼は立ち止まって静かに言った。
 

「本当…泣き虫だな」

 
その声には怒りも拒絶もなく、ただ深い優しさと、悲しみだけが含まれていた。

 
 
 
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