永遠の約束を交わそう
「大丈夫だよ、しっかりつかんで!」


必死に笑顔を作って声をかけると、子供は涙に濡れた顔で小さく頷いた。



その瞬間だった。


背後から大きな波が襲いかかる。


「――っ!」


視界が真っ白な泡に覆われ、身体が強く引きずり込まれる。


必死に浮き輪のひもを握り、子供を岸へ押し出そうとするが、自分の体は流れに巻き込まれて自由が利かない。


肺に冷たい水が流れ込み、耳の奥で心臓の音だけが轟いていた。


かすかに見えたのは、子供が岸の方へ近づいていく姿。


「…よかった…」


 
安堵とともに意識が遠のき、私の体は海の深みに吸い込まれていった。
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