もう恋なんてしないはずだったのに〜御曹司課長の一途な愛に包まれて〜
休日。
いつもなら人混みを避けて過ごすが唯一胸を高鳴らせて足を運ぶ場所があった。
ときめきスパイラル × コラボカフェ。
入り口でチケットをもぎられ、店内に入った瞬間、私の顔は自然と緩んでしまった。壁一面に貼られたポスター、テーブルに敷かれたキャラクターシート。目の前に現れるのは、私の推し――ひかるくんの笑顔。
「……かわいい……」
無意識に声が漏れ出てしまう。ドリンクに刺さったアクリルスタンドを写真に収め、コースターを手で撫でる。隣席でキャッキャと盛り上がる女子高生たちにも負けないくらい、私の胸はときめきでいっぱいだった。
コラボカフェを出るころには、両手にグッズの袋がいくつも増えひとり微笑んでしまった。狙っていたものは全て買うことができ、スキップでもしたい気持ちで歩いていると後ろから呼びかけられる声が聞こえた。
「……花菱?」
低く落ち着いた声に、心臓が飛び跳ねる。振り返れば、そこにいたのは渡瀬課長だった。
「か、課長……っ!?」
最悪だ。よりにもよって、こんな姿を見られてしまった。黒スーツを脱ぎ捨て、無防備な笑顔で“推し”に浸っていた自分を、職場の上司に見られるなんて。
課長の目が、私の両手いっぱいの紙袋に注がれているのに気がついた。慌ててグッツをバッグに押し込み俯いてしまった。
いつもなら人混みを避けて過ごすが唯一胸を高鳴らせて足を運ぶ場所があった。
ときめきスパイラル × コラボカフェ。
入り口でチケットをもぎられ、店内に入った瞬間、私の顔は自然と緩んでしまった。壁一面に貼られたポスター、テーブルに敷かれたキャラクターシート。目の前に現れるのは、私の推し――ひかるくんの笑顔。
「……かわいい……」
無意識に声が漏れ出てしまう。ドリンクに刺さったアクリルスタンドを写真に収め、コースターを手で撫でる。隣席でキャッキャと盛り上がる女子高生たちにも負けないくらい、私の胸はときめきでいっぱいだった。
コラボカフェを出るころには、両手にグッズの袋がいくつも増えひとり微笑んでしまった。狙っていたものは全て買うことができ、スキップでもしたい気持ちで歩いていると後ろから呼びかけられる声が聞こえた。
「……花菱?」
低く落ち着いた声に、心臓が飛び跳ねる。振り返れば、そこにいたのは渡瀬課長だった。
「か、課長……っ!?」
最悪だ。よりにもよって、こんな姿を見られてしまった。黒スーツを脱ぎ捨て、無防備な笑顔で“推し”に浸っていた自分を、職場の上司に見られるなんて。
課長の目が、私の両手いっぱいの紙袋に注がれているのに気がついた。慌ててグッツをバッグに押し込み俯いてしまった。