叶わぬロマンティックに終止符を


 「お、遅いよ、ばか……!」

 「ごめんって。でもいつか会えたら渡そうと思って、ずっと持ち歩いてた。やっと、渡せた」



 ぎゅっと握りしめて、また滲む涙を隠すようにもう一度抱きついた。わたしを受け止めて同じように抱きしめ返してくれるあなたが、もう、どこにもいきませんように。


 わたしの髪をふわりと撫でる。すべて、柊の熱に溶けてゆく。わたしはもう、柊でいっぱいだ。


 やさしさいっぱいに細められた瞳を見つめ返す。ことばがぎゅっと、すっと、心に染み込んでゆく。



 「俺も好きだよ。あの頃から今日まで、ずっと。きっとこれからも」



 「大好き。昔から変わらない、叶南だけ」と好きと大好きを掛け合わせられて、鼓動が自分史上最もうるさく加速した。


 
 「わたしも、大好き」



 どちらともなく重なる唇。経験がないわけじゃない。けれど心から好きなひととのキスははじめてだったから、ファーストキスみたいに甘酸っぱかった。


 これまでの空白を埋めるかのように何度か触れ合わせてから、もう一度腕に力を込めた。


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