幼なじみの過保護愛 -星のかけらは純愛のしるし-
もちろん、光希は何が何でも咲を家まで送り届けなければ気が済まないわけではない。仕事の後にそのまま飲み会や女子会に向かうときや、出張のとき、残業があるときは、公共交通機関で帰宅することもある。それは咲だけでなく、光希が同じ状況になったときも同様だ。
だが特に用事がなければ、出勤も退勤もごく当たり前のように一緒にしている。そしてそのルーティンから外れるときは、事前に申告することが暗黙のルールとなっている。
現在午後三時半。今朝『今日は定時で帰宅できる』と伝えていたので、そのタイミングまではおよそ二時間というところ。
今から『急に飲み会に行くことになった』と言うには、ややぎりぎりの時間だ。それにもし現在の光希が大事な作業や会議の真っ只中で、すぐにメッセージを確認できない状況にあったとしたら、もっとぎりぎりに予定変更を知る可能性もある。
となるとやはり、今日、急に飲みに行く、というのは難しい。
「私は行けないけど、美琴ちゃんとか近藤くんに聞いてみる? 二人もさっき『今日は飲みたい気分だね』って言……」
「いやいや、なんでそーなんの」
ふと昼休みに同期たちとした会話を思い出す。わざわざ咲を飲みに誘うということは、今日の柊太は相当飲みたい気分が高まっているのだろう。残念ながら咲は行けないが、他にも誘える人はいる。そう思って提案したが、咲の意見を聞いた柊太は、不機嫌に唇を尖らせてしまった。