幼なじみの過保護愛 -星のかけらは純愛のしるし-
「要らない」
「……。……え?」
光希が放った一言に驚いて、ぱ、と視線を上げる。すると咲の指先を見つめていた光希も、そっと頭を上げた。
「受け取れない。椎山さんにも、ごめん、って謝っておいてほしい」
「え……で、でも……」
思いもよらない『必要がない』との答えに、つい戸惑いの声を発してしまう。まさか、突き返されるとは思ってもいなかった。
だが光希の態度は一貫している。咲の困惑の表情を見ても、狼狽の声を聞いても、自分で出した答えは変わらないらしい。瞬きをするばかりで便箋を差し出した手を動かせない咲に、光希が再度拒否の一言を重ねてくる。
「ごめんな。もしまた椎山さんに会うことがあったら、そのときは俺からも謝罪するから」
「……。……そう、わかった」
頑なに受け取りを回避する光希に、これ以上咲や美琴の都合を押しつけることはできない、と判断する。表情の変化こそ少ないが、光希の纏う空気がやや不機嫌なものに変わったことも感じ取ったので、咲も深追いはせず差し出した手を大人しく引っ込めることにした。
「私こそ、急にごめんね」
口ではそう謝罪しつつ、光希が女性からのアプローチを拒んだことについて、実はほっとしている自分もいる。
もちろん、明日、光希が連絡先を受け取らなかったことを美琴に伝えなければならないことを心苦しく思う気持ちもある。しかし先ほどまでとは別の『どう説明すればいいのか』問題に直面しているはずなのに、気持ちは案外すっきりしているのだ。
咲の感情が伝播したのか、少し不機嫌になったはずの光希も、いつの間にか元通りの機嫌に戻っていた。
「それより、明日も定時で帰れそうなんだ。咲も残業がないなら、帰りに飯でも行かないか?」
「あ……!」