幼なじみの過保護愛 -星のかけらは純愛のしるし-

 光希がふと切り出してきた話で、すっかりと忘れていたもう一つの悩ましい問題がひょっこりと顔を出す。咲はまだ、しっかりと考えなければならない問題を抱えていたのだ。

 咲の悩みそのものは、光希には直接関係のない話だ。しかしここで明日の予定を訊ねられると『まったくの無関係』ではなくなってしまう。二つの予定が重複すると、どうしたって片方は断らなければならないからだ。

「あのね……実は今日、会社の人から『明日食事に行こう』って誘われてて……」
「ああ、そうなのか。じゃあ、明日は難しいな」
「え……。あ、うん……」

 光希が特に気にした様子もなく頷くので、咲もこくりと頷き返す。

 本当は、明日の予定はまだ確定しておらず、どうすべきかと決めかねている。それどころか、もし光希が食事に誘ってくれるならそちらを優先したい気持ちが強い。

 だが光希の誘いが『もし暇なら』『残業がないなら』という『いつでもいい』『ついで』であることに対し、柊太には『池田と二人きりで』『デートしよ』という明確な『好意の主張』を示されて誘われているのだ。

 気持ちを受け入れるかどうかはともかく、柊太からの好意を長々と放置し続けるのは、彼に対して失礼だ。最初に声をかけてくれたこともあるし、光希にはあっさり引っ込められてしまったし、とりあえず明日は柊太の誘いを優先すべきだろう。

 ――と、考えていたところで、ふと光希の声のトーンが落ちる。

「……咲」

 低い声に反応して「うん?」と顔を上げると、光希がいつになく暗い表情で咲の顔を覗き込んできた。

「その食事って、何人が参加するんだ?」
「え……? えっと……たぶん私とその人の、ふたり……かな?」
「……」

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