幼なじみの過保護愛 -星のかけらは純愛のしるし-

 てっきり光希は『視力が悪い・眼が疲労しやすいせいで、身に迫る危険を回避できない可能性があるから』『急に目や身体の調子が悪くなるかもしれないから』という理由から、過保護に心配してくれているのだと思っていた。だが彼が最も気にしているのは咲自身の不調ではなく、咲に近づく異性の存在だという。

「俺だけでいいんだよ、悪い虫は」
「えっ!? こ、光希くん……!?」
 
 突然の宣言に驚いて顔を上げると、すぐ目の前に光希の整った顔が迫っている。運転席のシートベルトを外して身を乗り出し、至近距離まで顔を近づけられて、切なく苦しげな表情でぼそりと呟かれる。

 低く落ち着いた声質の光希なので、普段の距離感なら聞き逃していたかもしれない。けれどこれほど顔の距離が近ければ、聞き逃すことも聞き間違えることもない。

 明確に『俺だけでいい』と言い切られた。
 その切なげな視線と台詞に、心音がどきどきと加速する。

(ああ……また、覗き込まれてる……)

 光希の黒い目が、咲の左目をじっと覗き込む。

 咲の心の中を探るように。本当は咲が隠した気持ちに気づいていて、それをあえて白日の下に晒したがっているかのように。

 瞬きもできずに光希と見つめ合っていたが、その緊張の時間を終わらせたのは、光希が「咲」と呼ぶ優しい声だった。

「十二日、何か予定あるか?」
「ん……? 十二日?」

 緊張の空気に浸っていたところで急に話題を変えられ、思わず気の抜けたような声が出る。咲が首を傾げると、身体を離して運転席の元の場所へ座り直した光希が、低く頷いた。

「えっと……昼は普通に仕事だけど、夜は特に何も」
「じゃあ、俺と出かけよう」
「!? 急だね……!?」
「そうか? 前の週のうちに誘ってるんだから、言うほど急でもないだろ」

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