幼なじみの過保護愛 -星のかけらは純愛のしるし-
珍しく光希の方から一緒に出かけようと誘ってきたので、つい声が裏返ってしまう。
もちろん社会人になってからも、帰宅前に一緒に外食を済ませたり、重量がある買い物に付き合ってもらったりと、プライベートの時間を共に過ごしたことはある。
だが数日前から出かける約束をするのは珍しい。しかもそれを光希の方から言い出すのは、正真正銘初めてだ。
急な心境の変化に驚く咲だが、その理由を掘り下げる前に光希が直前の話題を引っ張り出してくる。
「だから明日も、俺と帰るぞ」
「え……うん……」
予想外の提案に驚いているうちに一気に畳みかけられたせいか、光希の宣言にぼんやりと頷いてしまう。しかし数秒時間が経過してから、実はまったく違う内容の話をされていたことに気づく。本日は八月七日の木曜日で、光希が言っているのは火曜日となる八月十二日――つまり五日も後の話だ。
「ちょっと待って、それ全然関係ないんじゃ……!」
「ああ、車が来た。……どうする? もう少し話すなら、俺の家に行くか?」
「え? あ、いや……!」
慌てて軌道修正しようする咲だったが、間の悪いことに、後方から別の車がやってきたらしい。
咲の住むマンションの前は道が狭く、乗降用のスペースも一台分しか確保されていない。来客用の駐車場を使う場合は、マンション内の管理人室に行って利用の申告をしなければならない。だがそんな手間をかけるぐらいなら、一刻も早くこの場所を後続車へ譲り渡す方が建設的だ。
咲が首を振りながらシートベルトを外すと、光希がくすっと微笑んでくれる。
「じゃあな。おやすみ、咲」
「まだ全然、『おやすみ』の時間じゃないでしょ」