幼なじみの過保護愛 -星のかけらは純愛のしるし-

 いつになく上機嫌な光希と別れの挨拶を交わし、車から降りてドアを閉めると、光希が優しげな笑顔を向けてくれる。口の動きだけで『また明日』と伝えてくれる光希に手を振ると、やがて黒い車が静かに走り去っていった。

 実は光希の家も、ここから徒歩五分というさほど遠くない場所にある。だがこの真夏の時期に、雑談の続きのためだけに光希の家へ行って、徒歩で帰ってきたくはない。よって彼の家に行く、という選択肢は最初から排除の一択だ。――それにしても。

「結局、どうしたらいいの……」

 光希の思わぬ反応と話題逸らしのせいで、柊太とのことが宙ぶらりんになってしまった。もちろん、どうするのか、どうしたいのかは、咲が自分自身で決めること。それはわかっているので光希のせいにするつもりはないが、彼の反応を指針にしようとしたアテが外れた気持ちはある。

 柊太の気持ちが嫌なわけではない。むしろ好意を示してくれることは嬉しいと思う。ただ今の咲は、柊太に向けられたぶんと同じ気持ちを返せる気がしない。理由はそれ以上に気になる存在が――光希という大切な幼なじみがいるから。

 その光希が一緒に出かけよう、と約束してくれたことを、素直に嬉しく思っている。しかしその喜びの感情のまま無邪気に踏み込んではいけない気もしている。

 はぁ、と意気消沈しつつ、何気なく空を見上げてみる。

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