幼なじみの過保護愛 -星のかけらは純愛のしるし-

 日頃から『元気の良さだけが自分の取り柄』と主張している柊太だが、実は社会人二年目にして優秀な営業成績を誇っている、わが社の期待の星である。そんな彼が、元気の良さと同じぐらい秀でているのが『表情や言葉の使い方から相手の感情を読み取る能力』だ。

 優れた能力を持つ彼は、咲が『二人きりで』と言い含めたことや『今日は難しい』という言い方をしなかったことから、やんわりと濁した真意にも気がついてくれたらしい。

「……そっか。残念だけど、仕方ないな」

 はっきり言葉にしなくても、咲の気持ちと決意、そしてわずかな戸惑いを感じ取ったのだろう。咲の表情をちらりと確認した柊太が、誘いを断ったことで気まずくならないよう屈託のない笑顔を向けてくれる。

「また今度、同期のみんなで飲みに行こ。俺、幹事やるからさ」
「……うん。ありがとう、中塚くん」

 柊太がいつものようにニカッと笑ってみせるので、ほっと安堵の息をつく。咲がお礼の言葉を告げると、自動販売機の取り出し口から缶コーヒーをひょいっと拾った柊太がそれを握ったまま、

「じゃ、今日もがんばろーなー!」

 とファイティングポーズをとってから、リフレッシュルームを後にしていった。

 明るい笑顔を返してくれた柊太に手を振る咲だったが、ほ、と息をつく前に別の衝撃に襲われる。

「あえて踏み込まなかったか。見抜かれてるわね、咲」
「っ……!? み、美琴ちゃん……!?」

 音もなく突然隣に出現した美琴に驚き、その場にびくぅっと飛び上がる。いつから様子を見ていたのかはわからないが、咲と目が合うとにまにまと笑う姿を見るに、美琴は咲と柊太のやりとりをある程度から観察していたのだと予想する。

 盗み見とは人が悪い。否、ここは誰でも利用可能なリフレッシュルームなのだから、盗み見も何もないのだが。

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