幼なじみの過保護愛 -星のかけらは純愛のしるし-
(それでも何も言わないってことは――)
にもかかわらず、これまで光希は咲の恋心に一度も言及したことがない。もちろん自らの恋愛話をされたこともない。
ということは、光希には咲の気持ちに応えるつもりがないのではないか。光希を想い続けても、咲の気持ちは永遠に届かないのではないか。やはり彼は咲に怪我をさせたことに負い目を感じて一緒にいるというだけで、咲と同じ気持ちになることはないのではないか。
急に絶望を味わい、ずん……と意気消沈する。穴があったら入りたい気持ちが芽生える。数日後に一緒に出かけるどころか、今日の夕方一緒に帰ることすら止めたい気持ちに駆られる。
「そうとも限らないわよ」
ひとり落ち込む咲だったが、それを見た美琴がふう、とため息をつく。
「ねえ、咲。このチョコ、何味だと思う?」
「?」
呆れたようなため息を零した後で、ふと美琴が自身のオフィスバッグの中に手を突っ込む。そこをがさごそと探る美琴に反応して顔を上げてみるが、彼女が『このチョコ』と口にしたパッケージが、うまく認識できない。
なぜなら美琴は自分のバッグから取り出したものを、咲の目の前――本当にすぐ目の前の、焦点が合わないほどの近距離に差し出してきたからだ。
「え、近い近い! 見えないよ!?」
「そうでしょ?」
咲の顔のめり込ませる勢いで『チョコレート』らしきものをぐいぐい押しつけてくる美琴に文句を言ってみる。だが実はその謎行動にもちゃんと意図があったらしく、美琴がうんうん、と頷く。
咲の指摘を受けてようやく手を退けてくれた美琴が、握っていたチョコレートの小箱を咲の手の上にのせてくれる。指先に紙箱の質感を感じて視線を落としてみると、咲の手の上には大手菓子メーカーが最近発売したフルーツチョコレートシリーズの、ストロベリー味がのせられていた。