幼なじみの過保護愛 -星のかけらは純愛のしるし-
「こんなに大きく『いちご』って書いてあるし、いちごのイラストも描いてあるんだから、これがいちごのチョコなのは一目瞭然なわけ。でもね、どんなわかりやすく書いてあっても、近すぎると逆に見えなくなっちゃうの」
「……美琴ちゃん」
「お互いにね」
美琴が咲を諭す言葉には、その一つ一つに友人の恋を応援するような、じんわりとした温かさが込められているように思う。実は咲の気持ちのすべてを知っていて、咲が本当はどうしたいかも理解していて、けれど微妙な距離感を保つことに精一杯で、上手く踏み出せずずっと立ち止まったままなことも感じ取っている。
だから美琴は豪快に背中を押すわけではなく、こうして咲の考え方を変えるようなヒントをくれるのだろう。その小さな発見や思考の転換を積み重ねていくことで、咲が少しずつ前向きになれることを願っているように。
「ちなみに、本庄王子も顔に出やすいタイプだよ」
「え……そうなの……?」
「うん。ほとんど接点がない私でもわかる程度には」
「……」
薄々感じていたことだが、やはり美琴は、光希が自分に興味を持たないことを予想していたらしい。つまり彼女は、咲に連絡先を渡してほしい、と頼んだところで彼がそれを受け取らないことにも、最初から気づいていたのだと思われる。
ということは、美琴は咲を焚きつけるためだけに、わざわざ連絡先を書いたメモを用意して、それを使う瞬間まで密かにバッグに忍ばせていたということか。
先ほどのチョコといい、あのオフィスバッグの中には他に何が入っているんだろう……と美琴の肩あたりを見つめていると、ふと目が合った美琴がくすくすと笑い出した。
その楽しそうな表情から、また考えていることを読まれてしまったと気づく咲であった。