幼なじみの過保護愛 -星のかけらは純愛のしるし-
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約束していた八月十二日。夜九時半。
「ねえ、光希くん。どこまで行くつもりなの?」
いつものように会社の前まで迎えにきてくれた光希は、いつものように助手席に咲をのせると、まずは先輩のおすすめだというスペイン料理のレストランに連れて行ってくれた。
エビやムール貝に加えてレモンがのったパエリアや旬のトマトをふんだんに使ったガスパチョなど、暑い夏にぴったりの爽やかな料理を楽しむと、再び車の助手席に乗せられ――なぜか都心を離れて北に向かって移動し始めた。
一体何の目的で……? と首を傾げる咲だが、ハンドルを握ったまま一瞬こちらを見た光希は、なぜかずっとご機嫌だった。
「人がいないところ」
「!?」
ふ、と表情を緩めて微笑まれると、どきっと心臓が高鳴る。
人のいないところ!? どこ!? なんで……? と訳も分からず困惑する咲だが、光希の車のスピードはまったく減速しない。
やがて隣県に入り、あまり馴染みのない名前の高速道路を下りると、今度は国道を走っていく。もちろん高速ほど速いスピードは出さないが、あえて街から遠ざかるように、どんどん人の気配がない暗い場所へと進んでいく。
高速道路を下りてすぐの場所は夜でも車と街明かりと人の活気で溢れていた。だがそこから十五分ほど車を走らせると、完全に窓の外の景色が変わる。田んぼや畑のすぐ横を走る片側一車線の道路を進み、だんだん細くなっていく車道を駆け抜け、傾斜のついた道をゆっくりと登ると、街の明かりが少しずつ小さくなっていく。