幼なじみの過保護愛 -星のかけらは純愛のしるし-
「着いたぞ」
「!」
咲が緊張しているうちに車はどこかの山頂に到着したらしく、光希の一言とともに車が少しずつ減速して、やがて駐車場のような場所に停車する。完全な真っ暗ではないが、ほんの数本しか街灯のない場所はかなり暗く、周囲の様子はまったくわからない。
「ここが、人のいないところ……?」
「ああ。まあ、ゼロではないかもしれないけど」
「?」
光希の曖昧な呟きに首を傾げる咲だが、光希の目的はこの駐車場ではないらしい。
「降りれるか? 少し歩くぞ」
「う、うん……」
車を降りた場所から少し離れたところに何かがあると教えられ、素直に従うことを示す。明かりがない山の中を歩くなんて肝試しのようだが、光希は無意味に咲を驚かせたがるような人ではない。
車のドアを閉めてキーをロックすると、光希のシャツの端をちょんと摘まんで、彼の後をついていく。よく見ると駐車場には他にも数台の自家用車が止まっていて、薄暗い山道を進んだ先のひらけた場所にたどり着いてみると、何人か先客がいることもわかった。ただしかなり広い場所で、しかも辺りは真っ暗なので、お互いの顔はまったく認識できない。
「ま、そうだよな。やっぱり多少は人もいるよな」
完全な『人がいないところ』ではないとわかったからか、光希が少しつまらなさそうな声を発する。とはいえ、他にも人がいるかどうかはそれほど重要ではないらしい。
どうやら咲と光希は、それほど標高が高くない山の上にやってきたらしい。土地感覚がないので地名や山の名前はわからないが、真っ暗な視界の先――今いる場所よりかなり低い場所に、街の明かりがぽつぽつと見えている。先ほど高速道路のインターチェンジを下りた辺りかもしれない。
「光希くん……?」
「さてと……月も出てるし、天気もあまりよくないから、どうかな」