幼なじみの過保護愛 -星のかけらは純愛のしるし-
「うそ……流れ星……!?」
咲が驚きの声を発すると同時に、周囲からも「わあぁっ」「きゃあ!」「光った!」という歓声が挙がる。しかし驚く咲は周囲の状況にまで気を遣っていられない。
まさか流れ星を見ることができるなんて、と感動していると、肩を抱いていた光希の指先にぐっと力が籠った。
はっとして我に返ると同時に、光希が咲の顔をずいっと覗き込んでくる。
「見えたか?」
「み、見えた……!」
光希の問いかけに、興奮冷めやらぬ気持ちでこくこくと首を振る。
「どうして? 光希くん、流れ星が落ちてくるって、わかってたの?」
「ん?」
咲が詰め寄ると、光希が優しい声音のまま語尾を上げる。暗くて表情は見えないが、纏う気配から彼もこの瞬間を楽しんでいることがわかる。
ただし、光希は流れ星を見つめる時間を楽しんでいるわけではない。流れ星に驚き興奮する、咲の反応を楽しんでいるようだ。
「ペルセウス座流星群」
「え……?」
「二〇二五年のピーク予測は、八月十二日の深夜から十三日の明け方。つまり今夜だ」
「!」
光希の説明を聞いてようやく合点がいく。
彼が五日も前から咲の予定を確認して『出かけよう』と誘ってきた理由。それが祝日とお盆休みの間の平日という、なんとも中半端なタイミングである意味。二人が住んでいる都心ではなく、隣県の山奥という真っ暗な場所を目的地に選んだわけ。
光希はきっと、咲に流れ星を見せるために下調べをしてくれていたのだ。しかもただ星が見える場所を探すのではなく、仕事終わりに行ける場所で、街明かりの影響をできるだけ排除できて、周りに人が多くない穴場を見つけてくれた。
さらにちょうどピークの時間にこの場所にさり気なくたどり着けるよう、レストランの場所や料理の提供時間、そこからの移動時間まで計算して準備をしていたのだろう。