幼なじみの過保護愛 -星のかけらは純愛のしるし-

(嬉しい……!)

 光希が咲のためにあれこれ考えて、実際にそれを実行してくれることが嬉しい。咲と特別な瞬間を共有してくれることが嬉しい。

 胸の奥にほんのりと温かさを感じる咲だったが、そこでふと、隣に立つ光希がぽつりと何かを呟いた。

「……七年前も、クラスのみんなで観に行こう、って約束してたな」

 光希の問いかけにハッと顔を上げる。多少の月明かりはあるものの暗くて周囲の様子は見えにくいはずなのに、なぜかその瞬間の光希の表情だけは、やけにはっきりと確認できた。

 憎々しそうに、辛そうに――今でも後悔を感じているように、光希が眉間に皺を寄せる。

「でも俺のせいで、咲だけが行けなかった」
「……え」
「俺は咲から、視力だけじゃなく思い出を作る機会も奪ったんだ」
「!」

 光希の一言で、当時の記憶が一気に蘇ってくる。

 ボールが当たった直後、咲の顔は内出血からひどく腫れ上がってしまった。さらに目の奥にある網膜の怪我が発覚したことから手術を余儀なくされ、咲は高校二年生の夏休みに予定していた海水浴や天体観測、夏祭りといったイベントのほとんどの参加を断念した。

 中でも夏休み期間中ならいつでも行ける海水浴や時期になるとあちらこちらで開催される夏祭りと違い、天体観測の日はたった一日しかチャンスがなかった。

 その理由は、夜間の課外学習に引率してくれる高校の先生の都合が一日しかつかなかったこと……というより、『流星群の極大日』が一夜しかないことにあった。

 しかも翌年になると本格的に受験勉強が始まり、夏休みの真っ只中にクラスの全員で集まって呑気に流星群観測をしている余裕もなくなる。だからあの日が最初で最後の思い出をつくるチャンスだったのに、クラスの中で咲だけが、そのイベントに参加できなかった。仮に参加できていても、片目だけではよく見えなかったかもしれない。

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