義兄の愛に人生観を変えられ……
3
先日小説を書いたノートをなくしてしまってすごく焦っていたが、次の日会社に行くと亮太君から手渡された。
もしかしたら小説は読まれてしまったかもしれない。恥ずかしすぎて穴に入りたい気持ちだった。
仕事が終わって帰ろうとエレベーターホールでエレベーターを待っていると、亮太君が急ぎ足で近づいてきた。
「みどり。俺の作品を見てくれないか?」
せっかくなぐさめてくれたのに私は酷い態度をとってしまった。でもこれ以上頼ってはいけないと、もう一度開きそうになった心の蓋をがっちりと閉じたのだ。
仕事以外では近づかないようにしようと決めていたのに、仕事に絡められると断ることができない。
しかも亮太君が作る作品に興味がある。
私はあと二週間で、ここを辞めなければならないし、彼の作品を見るチャンスがないかもしれない。
いや、彼はきっと素晴らしいデザイナーになっていく。だから広告で彼がデザインしたものが掲載される日も近いと確信していた。世の中に出る前の作品をみたい気持ちが膨らんでいくが私が大切な作品を見る権利なんてあるんだろうか。
迷って返事をしないままうつむいていると……
「まだ誰にも見せていない。今回の作品は勝負をかけているんだ。俺の夢が叶うか叶わないか……めちゃくちゃ心を込めた作品なんだけど、みどりにまずは意見を聞かせてもらいたいんだ」
そこまで言われたら断る理由なんてなかった。
「わかった」
「明日、土曜日だけど……。駅で待ち合わせしよう」
「え? 会社で見せてくれないの?」
「事情があるから」
そう言って連絡先を書いて、手渡わたされた。
プライベートで会うことは避けたいと思っていたのに。
私は役に立てるなんて分からないけれど、もし夢を叶える手伝いができるのなら力になりたいと強く思って約束の駅に向かうことにした。
もしかしたら小説は読まれてしまったかもしれない。恥ずかしすぎて穴に入りたい気持ちだった。
仕事が終わって帰ろうとエレベーターホールでエレベーターを待っていると、亮太君が急ぎ足で近づいてきた。
「みどり。俺の作品を見てくれないか?」
せっかくなぐさめてくれたのに私は酷い態度をとってしまった。でもこれ以上頼ってはいけないと、もう一度開きそうになった心の蓋をがっちりと閉じたのだ。
仕事以外では近づかないようにしようと決めていたのに、仕事に絡められると断ることができない。
しかも亮太君が作る作品に興味がある。
私はあと二週間で、ここを辞めなければならないし、彼の作品を見るチャンスがないかもしれない。
いや、彼はきっと素晴らしいデザイナーになっていく。だから広告で彼がデザインしたものが掲載される日も近いと確信していた。世の中に出る前の作品をみたい気持ちが膨らんでいくが私が大切な作品を見る権利なんてあるんだろうか。
迷って返事をしないままうつむいていると……
「まだ誰にも見せていない。今回の作品は勝負をかけているんだ。俺の夢が叶うか叶わないか……めちゃくちゃ心を込めた作品なんだけど、みどりにまずは意見を聞かせてもらいたいんだ」
そこまで言われたら断る理由なんてなかった。
「わかった」
「明日、土曜日だけど……。駅で待ち合わせしよう」
「え? 会社で見せてくれないの?」
「事情があるから」
そう言って連絡先を書いて、手渡わたされた。
プライベートで会うことは避けたいと思っていたのに。
私は役に立てるなんて分からないけれど、もし夢を叶える手伝いができるのなら力になりたいと強く思って約束の駅に向かうことにした。