義兄の愛に人生観を変えられ……
隣に座って一緒に窓から外を見ると、外は雪で真っ白。
空と地上の境目がわからない状態だった。夕方で日が暮れてきて白というよりもグレーになってきて夜のように暗くなってしまった。
雪が落ち着くまで学校で待っていることにした。
私は開放されていた図書室に移動した。亮太君も心配だからとついてきたのだ。
図書室には誰もいなかった。
『みどりって、いつも本を読んでる』
『あぁ……うん』
『なんで? 本を読む目的とかメリットってあるの?』
そこで初めて亮太君に小説を書いていることを伝えてノートを見せた。
すると彼は瞳を輝かせながら頬をだんだん赤くして、こちらが見た。
『すっげぇ……。文章ってこんなにも人の心を動かすもんなんだな』
『ありがとう……』
『マジ元気出たよ。才能ある。夢が叶うまで絶対に続けるべきだな。心から応援する』
自分の夢を話すのが怖かった。会社員になって安定的な収入をもらう職業とは違って小説家というのはある意味不安定だ。そんな仕事をしたいと母に行ったら絶対に反対されることはわかっていたのに、亮太君が背中を押してくれ、私の心が大きく動いたのだ。
夢を諦めてしまえば、一生後悔するかもしれない。
勇気を出して母に気持ちを伝えようと、自分の進路について気持ちを伝えたことがある。
『高校を卒業したら文学部に行って小説家になる道を目指したいの』
母は勇気を出して伝えた私の夢を鼻で笑った。
『そんな不安定な仕事はやめなさい。小説が売れなくて、お金がなくてm惨めな人生を歩んでいくだけよ』
予想はしていたけれど、全否定されてしまった。
大事に育てていた花のつぼみを引き抜かれたようなそんな気持ちだった。
当時の私は立ち向かう程の勇気もなくエネルギーも出さなかった。