恐怖病院
それで少し安心したけれど、灰色のアトラクションはカラフルな他のアトラクションと比べても異質なものに見えた。
「真希、無理するなよ?」
お化け屋敷の列に並びながら貴也が心配して声をかけてくれる。

楽しもうと決めたものの、さっきから笑顔が引きつっていることが自分でもわかっていた。
「だ、大丈夫だよ。だって全部作り物なんだし」
と、また無理やり笑顔を作った。

いざとなれば非常出口だってあるはずだ。
ほら、前の列には小学校低学年くらいの女の子だって並んでる。
それほど怖くないのかも。

「今回のお楽しみは噂を検証することだろ?」
後から浩介がそう声をかけてくる。
そういえば鏡がどうとか言っていたっけ。
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