恐怖病院
お化け屋敷から出てくるのは別のお客さんばかりだ。
「おかしいね……」
私は呟いて首をかしげる。
あのトイレの鏡から戻ってくるとしても、少し時間がかかりすぎている。

隣に座っている渚ちゃんもだんだんと不安そうな顔になってきた。
「貴也に連絡して見ようか」

太陽はだんだんと傾き始めている。
渚ちゃんを親元へ返さないといけないことを考えると、いつまでも待っているわけにはいかなかった。

しかし、電話をかけた瞬間に「なんで、つながらないの!?」と、絶望的な声が出た。
貴也には未だに電話はつながらず、浩介や佳奈美にもつながらない。
冷たい機械音だけが流れ続けている。
「つながらないの?」
< 146 / 227 >

この作品をシェア

pagetop