恐怖病院
そして一番奥にある掃除道具入れの前までやってくると、互いに目を見交わせた。
また鏡の世界に入るのはすごく怖い。
でも……勇気を振り絞り、ぬいぐるみを持っている方の左手を伸ばした。

掃除道具入れの取っ手に指をかけて外側へと引っ張る。
ドアはギィィィと甲高い悲鳴みたいな音を立てて開いた。
中にはあの大きな鏡があり、そこには私と渚ちゃんの姿が映っている。

「もう1度中へ入るけど、いい?」
「うん」
渚ちゃんがうなづく。

その手はまた少し震えていたけれど、嫌だとは言わなかった。
本当は渚ちゃんを置いてくるべきだったのかもしれない。
すぐに警察に知らせて、保護してもらうべきだったかも。
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