恐怖病院
貴也にそんな危険なことをさせたくない。
もしも傷を負ったら、貴也まで消えてしまうことになるんだから。

「あまりここで話をしている暇もない。気づかれる」
「でも……」
まだ納得できていなかったけれど貴也に指示されて私と佳奈美はカウンター前に置かれている長椅子の後ろに身を隠した。

ここからならカウンターの入り口も近い。
「おい! お前ら!」
私たちが隠れたのを確認した貴也が大声を張り上げた。

ナースステション内にいる子供たちが一斉に貴也へと視線を向ける。
子どもたちが手に持っているのはバインダーやペンといったもので、凶器にはなりそうにない。
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