一直線の片思い

3.お互いのこと 千春Side

初めての塾の授業なのに、さっき見かけた男の子が隣にいるなんて……聞いてないよ。
どんな人なんだろう。

私は今、好きな人がいる。幼馴染の先輩だ。
卒業をきっかけに、この片思いに終止符を打とうと思っているのに、なかなか踏ん切りがつかない。早く、諦めたいのに。

小5から一緒に通っている英会話教室の友達、濱口楓華(はまぐち ふうか)に、塾に通い始めたことを伝えると――

「どこの塾?」

「進学ゼミナール」

「あ〜そこだったら、私の学校の子たち、結構いるでしょ」

「たぶんね」

「誰がイケメンだと思った?」

「えっと……ガタイのいい人」

そう、実は塾にはイケメンが2人いたのだ。
かいやくんとは別に、長谷川祐樹(はせがわ ゆうき)という男の子もいた。
でも当時は名前を知らず、ガタイがいい人(海也くん)と、日焼けしている人(祐樹くん)で見分けていた。

「えっ、海也?」

「名前は知らないな〜」

「そっちのほうがイケメンだと思ったの?」

「えっ!そうだけど……みんな、日焼けしてる人のほうがそう思ってるの?」

「うん」

「え〜そうなの!?」

「海也くんがタイプなのか...」

「別にそういうわけじゃなくて」

「でも、まだ話してないでしょ」

「うん」

「ふ〜ん、これからが楽しみだわ」

「えっ!?ごめん、なんて言った?」

「独り言だから」

「楓華、本当に〜?」

「うん」

「話せたら、言うね!」

「楽しみにしとくね!!」
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