指先から溢れる、隠れた本能。
「村松さん、これ、確認お願い」
俺は穏やかな声で話しかけ、書類を差し出す。彼女の心臓が一瞬跳ねたのが、俺にはわかる。彼女が書類を受け取る際、指先が一瞬だけ触れ合う。その瞬間、彼女が息を呑むのが聞こえた。小さな接触が、まるで電流のように俺の体を走り抜ける。彼女の声がかすれ、慌てて視線を落とす様子に、俺の胸の奥がぎゅっと締め付けられる。
「ありがとう、青井さん……」
彼女の声は震えていて、俺の耳に触れるたびに体の奥が震える。彼女の瞳が一瞬こちらを向いた時、その目に宿る動揺と、どこか安堵のような光を見逃さなかった。俺の視線が彼女を捉えると、彼女の胸のざわつきがさらに強くなっているのがわかる。だが、不思議なことに、俺の視線に触れると、彼女の不安がほんの少し和らぐように見えた。
(……この子、俺のそばにいると安心するって感じてる? でも、俺が「dom」だって知ったら、どうなるんだ?)