指先から溢れる、隠れた本能。



 その思いが、俺の心を締め付ける。六花の無防備な仕草、かすかに震える声、それらが俺の理性を揺さぶる。だが、同時に、彼女を安心させたい、守りたいという思いが強く胸に迫る。

 彼女がまだ自分の「sub」の性質を完全に理解していないからこそ、俺は慎重でいなければならない。俺が「dom」であることを隠し続けなければならない理由も、そこにある。彼女に知られたら、この微妙な距離感が壊れてしまうかもしれない。

 夕陽がオフィスの窓から差し込み、俺たちを淡いオレンジ色に染める。互いに手を触れずとも、空気に熱が宿っているような感覚。
 六花は、自分の心と体の反応に戸惑いながらも、俺のそばにいることで感じる安堵感を否定できないようだ。俺もまた、理性と欲望の狭間で葛藤しながら、彼女を守りたいという思いと、自分の抑えきれない感情の間で揺れている。


 (この子といると、抑制剤だけじゃ抑えきれなくなる。この距離感、危うい……)


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