指先から溢れる、隠れた本能。
第五章:抑制の限界と初めての命令、甘い夜
資料室の夕暮れは、ひっそりと静かだった。窓から差し込む淡いオレンジの陽光が、古い書棚や積み上げられた書類に柔らかな影を落とし、埃の匂いがほのかに漂っている。外の廊下の足音やオフィスの喧騒は遠く、ここには私と蒼空さんだけの閉ざされた世界が広がっていた。
空気が重く、まるで私たちの呼吸と心臓の鼓動だけが、この静寂の中で響き合っているようだった。古びたソファの革の感触が、微かな軋みを上げ、部屋に独特の親密さを添えている。
私はソファの端に腰を下ろし、胸の奥でざわつく熱を抑えようとしていた。だけど、蒼空さんの近くにいるだけで、心臓が早鐘のように鳴り、体の奥が疼いてしまう。