指先から溢れる、隠れた本能。



 「……こうしてると、落ち着きますね」


 私の言葉は、ほとんど囁くように漏れた。蒼空さんは微かに笑みを浮かべ、柔らかな声で答えた。


 「俺もだ。お前と一緒にいると、不思議と力が抜ける」


 彼の瞳が私を見つめ、視線が交錯した瞬間、心の奥で何かが溶けるような感覚が広がった。
 激しい動きはないのに、ただ手を触れ合い、視線を交わすだけで、胸の奥がじんわりと甘く熱くなる。私は小さく息を漏らし、頬が赤く染まるのを感じた。蒼空さんの手は温かく、安心感を与えてくれる。まるで、この小さな資料室が、私たちだけの世界になっているみたいだった。


 (蒼空さんのそばにいると、こんなにも心が落ち着く……でも、ドキドキも止まらない)


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