指先から溢れる、隠れた本能。
第八章:嫉妬と甘い命令
昼下がりのオフィスは、いつものように穏やかな喧騒に包まれていた。窓から差し込む柔らかな陽光が、書類やデスクに淡い影を落としエアコンの微かな唸り音が静寂を埋める。
私は同僚の男性と資料の内容を確認しながら、軽い笑顔で会話を交わしていた。仕事の話が弾む中、彼の冗談に思わず笑ってしまう。普段なら何気ない瞬間なのに、なぜか視界の端で蒼空さんの気配を感じ、胸の奥が小さくざわつく。
ふと視線を上げると、蒼空さんが遠くのデスクから私を見ていた。その瞳には、いつもとは違う、どこか鋭い光が宿っている。心臓が一瞬跳ね、なぜか頬が熱くなる。