指先から溢れる、隠れた本能。
「……蒼空さん……私、従います……」
私の声は小さく、震えていたけど、心からの言葉だった。蒼空さんは優しく微笑み、私の手を握る力を少し強めた。
「……いい子だ、六花」
その言葉に、胸の奥が温かくなった。蒼空さんの声は、まるで私の心を包み込むように響き、安心感と愛情がじんわりと広がる。嫉妬心から始まった彼の命令は、私たちの信頼と甘さをさらに深める結果となった。
私は視線を逸らしながらも、微かに微笑んだ。蒼空さんの瞳には、私を守りたいという強い想いと、愛情が宿っている気がした。
資料室の窓から差し込む午後の光が、書棚やソファに柔らかな影を落としていた。私たちの間に流れる空気は、甘く、静かで、どこか緊張感に満ちている。蒼空さんの手が私の手を握る感触が、まるで二人の心を結ぶ糸のようだった。日常の中で、こんな風に彼と過ごす時間が、私にとって何よりも大切なものになっていく。
(蒼空さん……これからも、ずっとそばにいてほしい)
心の奥でそう呟きながら、私は小さく微笑んだ。蒼空さんも私の微笑みに気づき、軽く頷いてくれる。その瞬間、私たちの関係がさらに深く、確かなものになった気がした。甘い命令と嫉妬の余韻の中で、私たちの心は、日常の小さな瞬間を通じて、ゆっくりと、でも確実に結びついていく。