指先から溢れる、隠れた本能。



 「……蒼空さん、何か……」


 私の声は、緊張でかすかに震えていた。蒼空さんは優しく微笑みながら、どこか真剣な眼差しで私を見つめた。その瞳には、愛情と、どこか独占欲のようなものが混じっている気がして、心臓がまた跳ねる。


 「今日のこと、俺に従わなかったら……少し躾をする」


 その言葉に、胸の奥でドキリとした。「躾」という言葉に、戸惑いと同時に、なぜか甘い期待が芽生える。蒼空さんの声は穏やかだけど、強い意思が滲んでいて、私の心を揺さぶる。私はまだ、自分の『sub』の性質を完全に理解できていない。でも、蒼空さんの言葉や視線が、私の体の奥底にある何かを呼び起こす。まるで、彼の声が私の心を直接動かしているかのようだった。


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