指先から溢れる、隠れた本能。



 資料室の静かな時間の中、蒼空さんの手の動きや囁きに、私は心の奥から甘さと快感を感じていた。彼の『dom』としての側面と、普段の優しさが交錯し、甘く、少し切ない時間が私たちを包む。
 蒼空さんの手が私の手を握る感触が、まるで二人の心を結ぶ糸のようだった。外の光が柔らかく差し込み、書棚やソファに淡い影を落とす。この小さな空間が、私たちだけの世界になっているみたいだった。

 蒼空さんの瞳には、私を守りたいという強い想いと、愛情が宿っている気がした。
 彼の命令は、嫉妬や独占欲から始まったものかもしれない。でも、その背後には、私を大切に思う気持ちがあるのがわかる。私は視線を逸らしながらも、微かに微笑んだ。蒼空さんの手が私の手を握る力が少し強くなり、その温もりに心が満たされる。


(蒼空さん……これからも、ずっとそばにいてほしい)


 心の奥でそう呟きながら、私は小さく微笑んだ。蒼空さんも私の微笑みに気づき、軽く頷いてくれる。その瞬間、私たちの関係がさらに深く、確かなものになった気がした。
 窓から差し込む午後の光が、資料室を柔らかく照らし、二人だけの世界を包み込む。日常の中で、こんな風に彼と過ごす時間が、私にとって何よりも大切なものになっていく。

 

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