指先から溢れる、隠れた本能。
《蒼空side》
資料室の静けさが、俺の心を妙に落ち着かせていた。窓から差し込む午後の光が、書棚や書類に柔らかな影を落とし、埃の匂いがほのかに漂う。
古びたソファが軋む音が、まるでこの空間が俺たち二人だけのものだと囁いているようだった。六花がソファの端に座る姿を見ながら、俺は胸の奥で熱い何かが蠢くのを感じていた。彼女の小さな仕草──緊張でかすかに震える指先、頬に広がる薄い赤、視線を逸らすその瞬間──全てが、俺の『dom』の本能を刺激する。
「六花……ちょっと座ってくれ」
俺の声が、静かな資料室に響いた。いつもより少し低く、真剣な響きを込めた。彼女が俺の膝のそばに腰を下ろすと、彼女の体温と微かな香水の香りが漂ってくる。
昨日の嫉妬の余韻がまだ俺の胸に残っていて、彼女を近くに感じるたびに、独占したいという衝動が抑えきれなくなる。