指先から溢れる、隠れた本能。




 「……蒼空さん、何か……」



 彼女の声は、緊張でかすかに震えていた。その声が、俺の心をさらに強く揺さぶる。六花の瞳には、不安と期待が混じり合った光が宿っていて、俺を見つめるその眼差しに、胸の奥が熱くなるのがわかった。
 彼女の『sub』の性質が、俺の『dom』の本能を呼び起こす。まるで、彼女の存在が俺の抑制を解き放つ鍵のようだ。

 六花の瞳が揺れた。彼女の頬がわずかに赤らみ、息が小さく乱れる。その反応に、俺の胸の奥で熱い何かがさらに強く脈打つ。
 今までの『躾』という言葉は、彼女を導くためのものだ。でも、その裏には、彼女を俺だけのものにしたいという欲望が隠れている。
 六花の反応──その小さな震えや、視線を逸らす仕草──が、俺の心を強く掴んで離さない。


 「……はい……蒼空さん」


 彼女が小さく頷く姿に、俺は思わず微笑んだ。六花の手を取り、ソファに座らせ、膝の上でそっと手を重ねる。彼女の手は小さくて、緊張で少し冷たい。
 でも、その冷たさが逆に俺の心を熱くさせる。彼女の吐息が漏れるたびに、俺の指先が彼女の手を握る力が強くなる。彼女の体が俺の存在に反応しているのが、はっきりとわかる。

 彼女の『sub』の性質が、俺の『dom』の本能と共鳴しているのだ。



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