【改稿版】幼馴染との婚約を解消したら、憧れの作家先生の息子に溺愛されました。

「こないだのメッセージ。すぐ消えてたけど、あれって？」

　すると、裕貴はわずかに目を泳がせた。

「ああ……あれ？　打ちかけた文章を、間違えて送っちゃってさ。すぐ気づいて消したんだ」
「……ふうん？　なんか♡マークが付いてたような気がしたんだけどなぁ？」
「だ、だから、おまえに送ろうとしたんだけど、恥ずかしくなってやめたんだよ」
「ほんとかなぁ……？」

　そう言うと、裕貴は私の腰をぐっと引き寄せ、キスをしてきた。

「んんっ……！？」

　少し強引な口づけに驚く。そういえば最近忙しくて、こんな触れ合いもなかった。
　だけど、なんだか胸の奥にざらついた違和感が広がる。
　
「行動してみせる……だろ？」
「も、もう！　そういうことじゃないって！」
「ははは！　じゃあ、会議行ってくる」

　裕貴がそんな調子なもんだから、あの消えたメッセージのことも、うやむやになってしまった。