【改稿版】幼馴染との婚約を解消したら、憧れの作家先生の息子に溺愛されました。
*
「ちょっと寄っていい? 喉、乾いた」
「どうぞ」
玄関の鍵を開けると、裕貴は慣れた様子で靴を脱いで上がり、さっさと冷蔵庫を開けてビールを取り出す。
「ちょっと、車でしょ?」
「泊まってく」
「もう、また?」
「だって、しのぶの手料理うまいんだもん」
軽口を叩きながら、裕貴はビールを一本こちらに投げてよこす。仕方なく受け取って、私も着替えを済ませてからソファに腰を下ろした。プルタブを引いて、ぐいっと喉を潤す。
「裕貴はいいよね。出版社の社長さんなんだもん。私なんて、いくら面接受けても全然ダメ」
「えらく拗ねたな」
「だって本当のことだし。もう、私もしのぶ出版でも作っちゃおうかな〜」
「お、それいいな。企画持ってくよ」
冗談を言う声が、いつもより少しだけ柔らかい。
私もつられて笑い、缶をテーブルに置いた。
「……なあ、しのぶ。ちょっと、提案があるんだけど」
「ん?」
ほろ酔い気分のまま答えると、裕貴は背もたれに体を預けながら軽い調子で言った。
「おまえが良ければ、俺の秘書やってくんない?」
「秘書?」
「ちょっと寄っていい? 喉、乾いた」
「どうぞ」
玄関の鍵を開けると、裕貴は慣れた様子で靴を脱いで上がり、さっさと冷蔵庫を開けてビールを取り出す。
「ちょっと、車でしょ?」
「泊まってく」
「もう、また?」
「だって、しのぶの手料理うまいんだもん」
軽口を叩きながら、裕貴はビールを一本こちらに投げてよこす。仕方なく受け取って、私も着替えを済ませてからソファに腰を下ろした。プルタブを引いて、ぐいっと喉を潤す。
「裕貴はいいよね。出版社の社長さんなんだもん。私なんて、いくら面接受けても全然ダメ」
「えらく拗ねたな」
「だって本当のことだし。もう、私もしのぶ出版でも作っちゃおうかな〜」
「お、それいいな。企画持ってくよ」
冗談を言う声が、いつもより少しだけ柔らかい。
私もつられて笑い、缶をテーブルに置いた。
「……なあ、しのぶ。ちょっと、提案があるんだけど」
「ん?」
ほろ酔い気分のまま答えると、裕貴は背もたれに体を預けながら軽い調子で言った。
「おまえが良ければ、俺の秘書やってくんない?」
「秘書?」