【改稿版】幼馴染との婚約を解消したら、憧れの作家先生の息子に溺愛されました。
「……勘違いしないで。私はもう、あなたの婚約者じゃありません」
『なっ……』

 指輪を置いて家を出た時点で、私の気持ちは固まっていた。
 私たちは、もう元には戻れない。
 裕貴が、続いてなにか言いかけたその時──
 
『ねぇ、裕くん。電話まだぁ?』

 スマホの向こうから、甘ったるい女性の声がはっきりと聞こえた。

「裕貴、今の──」

 問いただすより早く、プツンと通話が切られた。

「今……女性の声、聞こえましたよね?」

 私の問いに、二人は力強く頷く。
 やっぱり、浮気していたんだ……!
 だけど、不思議と悲しい気持ちはなかった。むしろ怒りや悔しい気持ちが、じわじわと熱を持って迫ってくる。
 
< 51 / 61 >

この作品をシェア

pagetop