【改稿版】幼馴染との婚約を解消したら、憧れの作家先生の息子に溺愛されました。
「……許せないな」

 そう、低い声で呟いたのは、桐人さんだった。

「え?」
「こうなったら、徹底的に……」

 桐人さんが、ぶつぶつ言い始めた。
 すると何かひらめいたようで、私の手を取った。
 
「真宮さん、僕たち、婚約しましょう!」
「はい!?」

 婚約!? 私と、桐人さんが!?
 
「僕たちが婚約すれば、穂鷹社長に一泡ふかせることができます」
「つまり……裕貴に仕返しするまでの間……ということですか?」
「そ……そうですね……」
 
 桐人さんは、困った顔をしていた。どうしたんだろう?
 でも、一時の仮初とはいえ、桐人さんのような素敵な人と婚約者だなんて。
 私の心に、少しだけ幸せの灯がともったような気がした。
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