告白する勇気がないので、ヴァンパイアと契約してしまいました。
「シオン」

「どうしたの?」

「やっぱり、契約やめる。」

私はキッパリとそう告げた。

「...えどうして?」
シオンは少し驚いた様子だ。

「やっぱり、願いを叶えてもらうなんておかしい。自分の力で叶えたいんだ。」

「そう...。アカリちゃんみたいな人は初めて。僕にはよくわかんない。正直、契約解消を受け入れることは基本ないけど...」

シオンが間を置く。

「でも解消してあげる。アカリちゃんは命の恩人だからね。あんまり気持ちってわかんないけど、あったかいような...そんな気持ちになったから。」

「え..あれ演技じゃなかったの!?」

「うん。ちょっと血が足りなくて。思うように体が動かなかったんだ。あれだけ危険なところに来てくれてありがとう。自信ないって言ってたけど、アカリちゃんは勇気ある人だと思う。」

シオンはそういうと、私の胸に手を当てて、何かをブツブツ唱え始めた。
一瞬、バチリと電気が流れたような感覚に襲われた。

「契約、終わったよ。胸のあざも消えてるはず。」

「ありがとう...でもシオンはこれからどうするの?血がなくて川で溺れてたってことは、その...簡単じゃないんでしょ?契約者を探すの。」

「うん。大丈夫。慣れてるから。じゃあね。」

そう言ってシオンは飛び立つ。

シオンがちょっとだけ心配だった。何だか長い時を孤独に生きてきた気がして。家族も、友達も、心を許せる人がいない気がして。
シオンのことは正直わからない。どんな生き方をしてきたのかも何を見てきたのかも知らない。

それでも私は、彼を引き止めることはできなかった。
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