マリオネット
 女の人は、三十歳過ぎたら性欲が増すって言うのは、本当なのかな。
 
 凪がお風呂から上がって、私も湯舟に浸かる。
 彼がスマホを持つことでスムーズに連絡が取れるようになったけど、アルバイトとか始めたら、いろんな人と連絡先を交換するのかな。

 もちろん女の子とも。
 凪、モテるんだろうな。カッコ良いし、優しいから。

 何を不安になっているんだろう。
 大人の余裕ってものを持たなきゃ。

「陽菜乃さん、大丈夫ー?」
 そんなことを考えてたら長湯になってしまった。
 外から凪が心配をしてくれている声がする。

「うん、大丈夫。今から出るね」
 お風呂から出てきても浮かない顔をしていたのだろうか。
「陽菜乃さん、何かあったの?なんか元気がないように見えるけど」

 どうして凪にはわかってしまうんだろう。
 
 部屋の中で立っている凪を抱きしめる。
「んっ。どうしたの?嫌なことでもあった?」
 彼は抱きしめ返してくれる。

「これから凪がアルバイトとか。始めた時に、モテるんだろうなって。連絡先もたくさん交換してほしいって言われるんだろうなって……。そんな子どもみたいなことを考えてたら、不安になっちゃった」

 いつもの私だったら言わないはずの言葉を彼に伝えた。
 彼氏という存在になった彼に、甘えたかったのかもしれない。
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