マリオネット
「それで……。話ってなに?」
 注文した珈琲が届き、一口飲む。
 平常心を心がけながら、彼に問いかける。

「そう急かさなくたっていいだろ」
 私は彼との会話を早く終わりにしたい。

 彼が言わないなら、こっちから先に聞いてしまおうか?

 そう思っていた時ーー。
「俺さ、今の嫁さんのこと、心から愛せないんだよね」

「はぁ?」

 何それ。
 なんでそんな相談をされなきゃいけないの。

「それは、あなたの自由じゃん。なんでそんなこと私に言うの?」

 彼は「はぁ」とため息をつきながら
「少しくらい聞いてくれたっていいだろ?」
 そう言って珈琲を一口飲んだ。

「まぁ、容姿も普通に可愛くて、家事も普通にできて、良い子なんだけど」

 一呼吸置いた後に彼は
「身体の相性が合わなくて」
 小声で呟いた。

「はぁ……」
 私も彼の言葉になんて返事をしていいのかわからず困惑する。

 私と別れる時だって「抱けない」とか言っておきながら、その抱けなくなった相手に愚痴をこぼすってどういうこと?

 こんなところじゃ大きな声で話せないけど
「私のことだって抱けないって言ったくせして何なの。翔太郎が原因なんじゃないの?」
 冷たく言い放ってしまった。
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