マリオネット
「なんだよ。その言い方」
 私の言い方にムッとしたようで、彼は少しだけ口調が荒くなった。

「可愛いなって思うんだけどさ、全部俺任せなんだよね。尽くしてくれないと言うかさ。男が頑張ればいいと思っているところがあるみたいで……」

 興味はなかったが
「そんなの彼女に直接言えばいいじゃん」

「言えるわけないだろ。向こうの家、結構な金持ちでさ。俺も甘えさせてもらっている部分とかあるわけ。もしそんなこと言って気分が悪くなって離婚ってことになったら、大変だろ」
 私の元彼氏だと思いたくないくらいのクズだと感じた。

「だから、その話が私になんの関係があるわけ?」

「陽菜さ。今、イケメンだけど働いていない男と一緒に住んでるだろ?」

 唐突に言われた一言に、私は驚きを隠せなかった。

「その情報、どこから?」
 やっぱりこの人が盗聴器の犯人だ。

「秘密。それでさ、お前一人の給料じゃ二人分の生活費だって大変だろ。だから俺と取り引きしようぜ?」

 この人、何を言っているの?

「意味がわからない」

「俺も陽菜の彼氏には言わないから、セフレになろう?」

「はっ?」
 空いた口が塞がらないというのは、こういうことを言うんだろうな。

「もちろん、小遣いをやるよ。良い条件だと思わないか?」
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