マリオネット
 伝票を持ってレジまで行く。
 支払いを済ませ、後ろを振り返ることなく歩き出す。

 凪に連絡しなきゃ。
 彼もこっちに向かって来ているはずだから。
 寒いな、ポケットからスマホを取り出し電話をかける。

<もしもし……?>

「あっ。もう終わったんだけど、どこにいる?」

<今、駅構内を歩いてるからもう少しで着くよ>

「南口にいるから、そこまで来れる?」

<うん、わかった。ちょっと待っててね。寒いから暖かいところにいるんだよ>

 翔太郎とは違う、彼の優しくて気遣ってくれる声に泣きそうになる。

 電話を切って、改札で待っていると
「陽菜乃さん」
 彼の声が聞こえた。

「ごめんね。凪」

「寒いよね。帰る?それとも暖かいお店とか一回入る?えっ……。陽菜乃さん、泣いているの?どうしたの。何かされた?」

 凪は、私の顔をまじまじと覗き込んできた。
 こんなに近くで見ても、凪はかっこ良いな。
 そんなことを思いながら
「何もされてないから。大丈夫だよ」

「じゃあ、なんで泣いているの?ここじゃ話せないよね。帰ろうか」

「うん」
 彼は私の手を繋いでくれ、自分のポケットに入れてくれた。

 家に着き
「お疲れ様。今、お茶淹れるから待ってて。今日、寒かったよね」
 元彼と会ったというのに、変らぬ態度で接してくれた。
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