マリオネット
 ドキッとしてしまったが
「うん、もちろんだよ!行っておいで」
 大人の対応、大人の対応と心の中で何度も唱える。

「私、お風呂入ってくるね」
 普通を装って、浴室に向かった。
 
 あぁ、なんて嫉妬深い女なんでしょう。
 もっと余裕でいなきゃいけないのに。

「はぁ……」
 洋服を脱ぎながらため息が出てしまった。

 すると
「陽菜乃さん?」
 ドアの向こうに凪がいたらしく、声をかけられる。

「んっ?どうしたの?」
 下着姿のまま返事をした。

「やっぱり、陽菜乃さんからしたら嫌だよね。ちゃんとまだ陽菜乃さんにいろんなこと返せてないのに、歓迎会とか」

 そういうつもりじゃないんだけどな。

「そんなこと思ってないよ」

 私の態度があからさまに出てしまっていたみたい。嫌な気分にさせちゃったかな。

「これからお世話になるんだから、行っておいで?たまには私だけじゃなくて、いろんな人と話して気分転換しておいでよ」
 いつも家に居てくれたから、他の人と関わることで気分転換になればいいと心からそう思った。

「じゃあ、私入ってくるね」
 ドア越しに彼に伝え、下着を脱ごうとした時だった。
 
 ガラっと浴室のドアが開けられる。

「ちょっ!!ちょっと凪!なんで入って来るの!?裸なんだけど!」
 私は慌てて近くにあったバスタオルで自分の身体を隠した。
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