マリオネット
「昨日は、本当にごめんね」

「ホントに気にしないで。あんな写真、送ったやつが一番悪いんだから」
 私の手に触れる凪の手が温かい。
 抱きついている身体もいつもより温かく感じた。

 洗顔を済ませ、キッチンへ向かうと少し苦しそうな表情を凪は浮かべていた。

「凪?どうしたの?どこか痛いの?」

 私の言葉にハッとした彼は
「ううん。さっき持ったお茶が熱くてさ」
 そう答えた。

 おかしいと思い、彼をよく見ると顔が赤い。
 まさか――?

「凪ちょっと、おでこ触らせて」

「えっ」
 強引に彼の額と首筋を触る。熱い。

「ちょっと、熱あるんじゃない!?」

 昨日、あんなに寒かったのに走らせて汗をかいて――。
 無理させたからだ。バイトだって残業するほど大変だったのに。

「大丈夫だよ」

「ダメっ!」
 私は彼をイスに座らせて、体温計を渡す。

 ピピッ、ピピッと音が鳴り、彼が見る前に私が取り上げた。38度5分。

「やっぱり熱があるじゃん。今日はゆっくり休んで。アルバイトもお休みだよね。ごめんね。私が昨日、無理させたせいだ」

 なのに、全然気付いてあげられなかった。
 朝ご飯まで作ってもらって、何をやっているんだろう。
< 172 / 186 >

この作品をシェア

pagetop