マリオネット
「陽菜乃さんのせいじゃないから。うん、今日はゆっくり休ませてもらうよ。ありがとう。ご飯、食べないと会社遅刻しちゃうよ」

「凪は?食欲ない?」

「ご飯は食べれそうだから、食べて陽菜乃さんを見送ったら寝るよ」

 やっぱり具合悪そうだな。
 そんなに高熱があれば誰だって苦しいよね。

 私は慌ててご飯を食べて、会社に行く準備をした。

「食器とか片付けなくていいから。私が帰ったらやるからね。ゆっくり寝てるんだよ」

「うん。ありがとう」

 送らなくてもいいって言っているのに、いつも通り凪は玄関まで見送ってくれた。
「行ってきます」
 一言だけ声をかけ、家から出る。

 実は向かったのは、会社ではない。スーパーだ。

 凪が心配だから会社を休むって言ったら絶対反対するだろうし、休んでもくれなさそうだから、会社に行くフリをした。
 家の外から会社に電話をかけ、上司には申し訳ないが、自分が具合が悪いと伝え休ませてもらった。

 朝早くからやっているスーパーへ行き、飲み物や消化の良さそうなもの、口当たりの良いものを買って、帰宅をする。
 静かに家の中に入る。内鍵はかかっていなかった。

 リビングに彼はいなかった。
 キッチンへ行き、買ってきた食料を冷蔵庫の中に入れる。

「朝ご飯の食器、そのままでいいって言ったのに」

 食べた物は片付けられており、綺麗に整頓されていた。
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